研究分担者 |
藤本 彰三 東京農業大学, 農学部, 助教授 (80147488)
小野 功 東京農業大学, 農学部, 助教授 (20078166)
堀口 健治 早稲田大学, 政経学部, 教授 (80041705)
太田 保夫 東京農業大学, 農学部, 教授 (00213744)
松田 藤四郎 東京農業大学, 農学部, 教授 (90078121)
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研究概要 |
本研究は、水稲直播栽培に焦点を絞って,わが国稲作における技術・経営革新の可能性と第向性を実証的に明らかにすることを目的とした。そのため、地域条件および個別農家条件との関連性で、直播技術の導入・展開過程に関する実態調査を実施した。主要調査地は福岡県,熊本県、鹿児島県および宮崎県の稲作地帯である。直播タイプ別には土壊中直播,また播種方法別には機械条播およびガスタ-によるバラ播き栽培を集中的に調査した。本研究の結果,直播の導入と展開に関して、大まか次の3つのタイプが確定できた。第1は、労働節約型直播である。水田利用の高度化、つまり多毛作化を進める過程で労働需要が重なる場合,若干の稲作収量低下を覚悟の上で,田植から直播へ移行する。たとえば,干拓地においてイグサを導入すると,その収穣時期は6〜7月となり,直播ではるく田植を行う。一方,小麦跡では労働分散のため直播を実施する。茶園との複合経営においても,田植労働を節減するため直播は有効である。第2は,経営規模拡大型直播である。これは,さらに水稲専作型拡大と複合経営における部門結合効率化という2つのパタ-ンに細分できる。共通点は直播栽培の導入による水稲作期の拡大であり。これによって機械・施設の利用度の向上が図られている。第3は増収型直播であり,とくに秋落ちが激しい低収量地帯に見られる。しかし,近年の機械移植技術の改善によって直播の省力効果が小さくなったことと,良質米生産への移行が亀んだことによって、直播は減少傾向にある。以上の3タイプのうち労働節約型と経営規模拡大型においては,直播栽培は経営全体の所得向上に有効であり,今後も継続されると考えられる。 しかし,一層の発展のためには、直播によって収量の安定化を進める技術体系と,良質米栽培に適した直播技術体系の開発・普及が急務であると考えられる。
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