研究概要 |
本年度はすでに所有している過去の国勢調査データ('75年,'80年,'85年)と'90年の国勢調査データを基に,昨年に引き続き関東・中部の1,188市区町村を分析対象とし,'75年〜'80年,'80年〜'85年,'85年〜'90年の3期間について年齢別の社会変動を算定した。年齢別の社会変動は年齢別の全変動より年齢別の自然変動を差し引けば求められる。自然変動の算定法は,毎年の厚生省より公表されている都道府県別,市町村別の衛生統計年報(出生・死亡データ)を基とした。 出生・死亡データの調査期間は1月1日より12月31日までの区間データであり,国勢調査は10月1日の時間切断データであるから,この3ケ月のズレの調整および死亡データの特性(死亡時が誕生日前か後かによって死亡年齢が異なる)の調整については調査期間係数を加味して解決した。 山形県において,社会変動算定の精密分析法と簡易分析法の比較分析をおこなった。精密分析法とは自然変動(死亡)の算定を分析期間中の毎年の衛生総計年報のデータの積算を基とする。簡易分析法は,自然変動(死亡)の算定を生命表の死亡率を基に算定する方法で,分析を迅速に行なうことができる。比較の結果,各市町村での生命表による年ごとの推定死亡数をその年の総死亡数のみを用いて補正すれば精密分析法とほとんど変わらない結果を得ることが明らかとなった。 各市町村の社会変動パターンを人口流入型,Uターン型,流出型に分け(27パターン),かつ3分析期間の社会変動の変動量(社会変動の時間微分)をみて,加速度型,減速度型(負の加速度)の4パターンの108パターンのうち,理論的に可能な47パターンに分けて分析した。東京・名古屋およびその周辺の約10%の街では人口が流入し,5%の街では人口が安定,もしくは流入型=流出型への相互移行となっており,残りの約85%の街では流出傾向が今も続いている。
|