研究概要 |
昨年度はまさ土の過圧縮供試体を用いた。しかし,この結果に対する過圧縮の影響を評価するため,正規圧縮供試体についても実験を行う必要が生じた。そこで,今年度は当初の予定を変更して昨年度と同じまさ土を用い,この正規圧縮供試体についての実験を行うこととした。 また,同じ大きさの球がランダムに詰まっている集合体を想定して2球間に働く粒子間結合力を理論的に計算し,サクションと有効垂直応力増分の関係を求めて実験結果と比較し考察した。 試験方法は昨年度と同じである。サクションの増加により,Su=0kgf/cm^2の飽和供試体より強度が増加することが分かった。しかし,垂直応力の大きさに関わらず,Su=0.4kgf/cm^2以上になるとせん断強度の増加がほとんど認められないことが明らかとなった。また,このサクションによるせん断強度の増加傾向を過圧縮供試体のそれと比較すると,ほとんど同じであった。 同じ大きさの粒子がランダムに詰まったモデルを用いた計算によれば,粒径が小さい場合サクションの増加とともに粒子間結合力は増大し,せん断強度も増加してゆく。しかし,粒径が大きくなると比較的サクションの小さい領域で粒子間結合力の増加が著しく,ある程度以上のサクションでは強度増加はほとんどなくなってしまう。 まさ土は比較的粒径の粗い土であるが,実験から得られたサクションとせん断強度の関係の傾向も理論から得られた傾向と一致した。
|