研究概要 |
均一な粘土地盤における水平荷重下のたわみ性二次元モデル杭の変形および支持力特性について実験的に解析した。 実験条件は以下の通りである。 1.粘土試料:ベントナイト(含水比w=98%,非排水セン断強さCu=0.086kgf/cm^2とw=130%,Cu=0.072kgf/cm^2)と有明粘土(w=140%,Cu=0.0061kgf/cm^2)の2種類。2.二次元載荷装置:(a)モデルー1;アクリル製で,縦26cm*横30cm*幅1.2cm,(b)モデルー2;前後面ガラス張りで,縦50cm*横90cm*幅10.5cmの2種類。3.モデル杭:モデル-1に対しては,長さL=20cm,幅B=1.2cmで剛性El=2.05*10^5〜26.6kgf・cm^2において6段階に変化させたもの(杭表面には変形観察用マ-カ-付き,載荷点と地表面間の距離e=1.5cm)モデル-2に対しては,長さL=45cm,幅B=10.5cmで剛性El=7.94*10^5〜99.34kgf・cm^2において7段階に変化させたもの(杭表面には深さ5cm置きにヒズミゲ-ジ張り付け,e=3.0cm)。4.載荷方法:定荷重方式で,一荷重当たり載荷時間はモデル-1,モデル-2の場合ともに5分。 実験により得られた主な知見は以下の通りである。 1.載荷に伴う杭変形の観察結果によれば,杭の相対剛性βL(β=(k_hB/4El) ^<1/4>,K_hは地盤の横方向反力係数で本研究では,k_h=55c_uとした)が低くなるほど,地表面近くで大きく変形するようになり,Bromsのいう塑性ヒンジが現れる。2.載荷に伴う杭表面のヒズミ分布と上述の杭の変形状況とはほぼ一致する。3.単位幅当たりの荷重qと杭頭の水平変位量yとの関係は一般に,p=k_hy^nで表されるが,その勾配nは一定値ではなくβLの関数である(βLが大きくなるにつれて約0.8に漸近する)。4.y=10mmにおけるk_hの値はβLの関数で与えられ,βL≦2.25の場合,k_h=55c_uが成立しそうである。5.たわみ性杭の極限支持力Q_hはβLが大きいほど小さくなる。6.Q_hはBromsの式でかなり精度よく算定できる。
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