研究概要 |
今年度は室内模型実験により、地下におけるアーチ型構造物の限界荷重と,崩壊メカニズムを検討し,さらに材料及び幾何学的非線形性を考慮した有限要素解析の結果を比較した。実験では,まず,アーチ幅8cm,アーチ上部の砂層厚3cmと一定にした条件で,アーチの中心角を90゚-180゚まで10゚ずつ変化させることにより,さまざまなアーチ形状を作り,崩壊荷重との関係を調べた。次にアーチの中心角を120゚,アーチ幅を8cmに一定にした条件で砂層のかぶり厚を1-6cmまで変化させ,かぶり厚と崩壊荷重の関係を調べた。砂には標準砂を用い,その密度は1.61g/cm(密詰め)となるようにしている。エアバッグを用いて砂層上部から空気圧を徐々に上げながら均一な分布荷重として加え続け(地盤を上から押す),アーチの崩壊を生じさせた。その際に,荷重を増加させてもアーチ形状にしばらく変化は見られないが,ある荷重に達すると瞬間的に崩壊を起こした。崩壊後のアーチ形状のパターンを見ると山が4つと3つの場合など設定条件によって特徴が現れた。崩壊荷重は中心角が120゚-130゚のアーチ形状の場合が最大値を示し,また,かぶり厚が増すほど比例的に荷重値も大きくなった。材料及び幾何学的非線形性を考慮した有限要素解析では実験と平均的には一致する結果が得られたが,アーチの中心角が120゚-130゚で極大値を示すパターンは得られなかった。解析においてはアーチ端部の境界条件が結果に極めて敏感であることがしめされた。端部に回転を許す条件での結果が上記の通りであったが,端部を固定すると実験値よりはるかに大きな値を示した。実験においては回転を許すようにしたが,条件設定にやや曖昧さがあったため,端部条件を更に厳密にした実験を行い,解析との比較を進める予定である。
|