研究概要 |
昨年度までの実験と解析で、地下におけるアーチ型構造物の限界荷重はアーチ端部に回転を許すかどうかで非常に異なることが明らかになった。今年度においては端部条件を厳密に固定した条件で模型実験を実施した。地盤材料にはこれまでと同様に豊浦標準砂を、アーチ素材にはポリエステルシート(厚さ2mm)を用いた。崩壊時にアーチ端部の回転を防ぐため,真ちゅう板の溝(溝幅0.5mm)にシート端部をセットし、シリコン系接着剤でその部分を固定した。なお,アーチの底辺は10cmとした。地盤は落下高さが一定になるようにしながら砂をホッパーから自由落下させ,均一な密度となるように作成した。地盤の設定条件が完成した後、エアバッグを用いて砂層の上部から空気圧を徐々に上昇させながら均一な分布荷重を作用させて,限界荷重を求めた。アーチの形状は中心角120°及び180°とし,かぶり厚は1.5cmの条件で実験を行った。標準砂の密度は約1.65(g/cm^3)であり,実験室の温度は17℃〜21℃であった。 実験で得られた崩壊荷重は中心角120°のアーチでは0.604kg/cm^2,中心角180°のアーチでは0.709kg/cm^2となった。端部を完全固定しない条件での実験では,中心角120°の場合が,中心角180°の場合より崩壊荷重が3倍程度高くなっていたが,端部を完全固定した今回の実験ではむしろ中心角180°の場合の方が強くなっており,しかも崩壊荷重値はかなり大きくなることが明らかになった
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