研究概要 |
八郎潟干拓地の低湿重粘土水田について不耕起田および耕起・代かき田の圃場環境,土壌環境およびイネの生育・収量に関する実態調査をした。 不耕起田の特徴 (1)地下水位が低く、地耐力が向上する 試験栽培3作目が経過した。不耕起田の地下水位は仕切りがないのにもかかわらず耕起・代かき田に比べて常時低い状態で経過している。また、表層部の地耐力の向上がみられる。 (2)排水性に優れている 不耕起田は暗渠排水口からの排水量が多く、地盤浸透量が大きく、圃場の排水性に優れている。また、土壌断面調査の結果では不耕起田は酸化層が厚く、グライ層の出現位置が低い。地温も作土層ではわずかながら高めに経過する傾向にある。 (3)圃場が乾燥し、透水性が大きい 圃場含水比の減少、仮比重の増加など圃場の乾燥化が進行し、根穴(根成孔隙)の発達量が多く、透水性も大きい。さらに不耕起田は土壌小動物が多く観察され、好気性の土壌微生物などを含めて、土壌小動物の棲息環境として適しているものと推察される。 (4)根穴が多く、根の伸長・発達が良好 X線造影法による土壌間隙の形態は、不耕起田はイネの根が腐食分解して残った根穴(根成孔隙)の分布量が多い。つまり、耕起・代かきを省略した不耕起田の方がイネの根の伸長,発達が良好であることがわかる。 (5)不耕起イネの生育と収量 不耕起田の根の伸長、発達が良好で根株が太い。根は白く、若々しく太いのが特徴である。また、生育・収量調査では茎数、茎の太さ、穂数、収量などはいずれも不耕起田の方が耕起・代かき田に比べて優った。
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