16個のワグナーポット(1/5000a)を用いて温度(10℃と20℃)、土壌水分条件(湛水と非湛水)、肥料の種類(尿素と硝安)、施肥量(N5kg/10aと20kg/10a)、土壌の種類(粘質土と黒ボク土)、潅漑水量(5mm/日と20mm/日)、潅漑方法(連続潅漑と間断潅漑)、植生(有と無)、ガスの吸引速度(1リットル/2分と1リットル/4分)の9要因が、N_2Oの発生量に及ぼす影響を実験計画法に基づいて検討した。 各要因の水準は全て2とした。ポットには約4cmの厚さに砂を敷き、その上に土壌を約12cm詰めて恒温室内に置いた。肥料を散布して表面の土壌と混ぜ、水稲を移植後、潅漑した。潅漑は1日1回行い、ポット下部のゴム管から自然排水した。なお、湛水区はゴム管をポット上部までもちあげ土壌表面に湛水するようにした。連続潅漑区は14日間潅漑し、間断区は7日潅漑→7日中断→7日潅漑とした。ポット上部にφ180mmのロート(約1.2リットル容)をかぶせ、開放系にして1日1回ゴムバッグに採ガスした。N_2Oの濃度はガスクロマトグラフ(島津製GC-14A、線源^<63>Ni、検出器ECD)で測定した。 分散分析の結果、温度(20℃>10℃)、施肥量(N20kg/10a>5kg/10a)、土壌水分条件(非湛水>湛水)、土壌の種類(粘質土>黒ボク土)、吸引速度(1リットル/2分>1リットル/4分)の5要因に有意な差が見られた。 次に、5要因の主効果とそれらの間の交互作用すべてを求められるように実験計画をたて、同じく16個のポットで実験した。 その結果、N_2Oの発生量には(1)土壌水分条件(2)温度(3)土壌水分条件と施肥量の交互作用の影響が強く現れた。 一方、被覆肥料を用いた実験では、N_2Oの発生量は平均4割以下に減少した。また、肥料を土壌に鋤込んだ場合は鋤込まない場合の1/2以下に減少した。したがって、N_2Oの農地からの発生量を減少させるためには(1)施肥後の潅漑(2)施肥量の削減(3)被履肥料の使用(4)施肥後の鋤込みなどが有効であると考えられる。
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