研究概要 |
1)パーソナルコンピュータの管理による土壌貫入抵抗測定装置を開発した.本装置により測定範囲内の任意の位置で土壌貫入抵抗の測定が可能で,その結果土壌硬度の3次元分布を求めることが可能となった. 2)コーンペネトロメータによる土壌硬度の測定は,測定点の周囲の土壌に影響を及ぼすので,相互干渉の点から測定間隔は12cm以上であることが望ましく,土壌硬度分布の再現精度からは測定間隔が20cm以下であることが望ましいとの結論を得た. 3)土壌硬度と土壌乾燥密度との間には高い相関が認められ,土壌硬度の測定値から土壌乾燥密度に換算することは可能であると判定された. 4)トラクタの走行によって土壌が締固められる要因について検討するため,室内の大型土壌槽を供試して実験を行った.その結果,土壌水分,トラクタの走行回数,後車軸荷重,後車輪の空気圧等と土壌硬度即ち土壌の締固めの関係が明らかになった. 5)土壌硬度分布の3次元ソリッドモデル化により土壌硬度分布解析の自由度が増した.代表的な栽培作物,作業方法のほ場の土壌硬度の3次元分布について解析した結果,「馬鈴薯栽培ほ場における畦間部の地中の硬盤」,「サブソイラ通過により破砕された部分は半年後も他の部分に比べ土壌硬度が小さくその効果が残存したこと,および以前に施工された暗渠の跡」,「深耕ロータリの採用により,プラウ耕によって生じた硬盤が破砕され,半年後も残っていた効果」,「永年にわたり更新を行っていない採草地で地表面より10cmから25cmの深さに存在した硬盤層」等が確認された. 7)以上の結果から,土壌硬度を測定し,その3次元分布を分布を解析することにより,従来は明らかにすることの出来なかった車両の走行および農作業等の機械作用が土壌の物理性に及ぼす影響の評価が可能であるとの結論を得た.
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