我国の主食である米の存在をグロ-バルなものと捕え、単に国内産のジャポニカ系の米に留まらずに世界の主力となっているインディカ米やパ-ボイル米の性状と加工特性を明らかにする目的の下に本研究を実施した。 研究初年度に当たる平成3年度には、インディカ米とパ-ボイル米の乾燥あるいは熱加工の影響が米の理化学性状に及ぼす影響、またこれらの貯蔵が品質変化に及ぼす影響について把握することに主眼を置き、各種の測定項目を設定して実験した。初年度において得られた結果は以下の通りである。 1.パ-ボイリングを代表とする強度の熱処理が理化学性状に与える影響:パ-ボイリングが、ジャポニカを用いてもインディカを用いても、米粒硬化を促進することは研究代表者により既報の通り(1978)であるが、これが精米操作による砕米防止効果という観点で比較すると、インディカ米において大きく現れることが分かった。 2.近赤外分析(NIR)によるインディカ米、パ-ボイル米の評:米質の異なるインディカ米やパ-ボイル米の品質評価をNIRが対応できるかを検討した結果、既に知られている感応基については双方とも十分な応答が得られ、ジャポニカ米との相違が検出された。特筆する結果として、パ-ボイリングに伴う熱加工の影響に感応する波長帯も幾つか発見することができた。 3.貯蔵が米の品質に及ぼす影響:各種の貯蔵形態を設定して品質変化を追跡し、いずれの米についてももみ貯蔵が有利との結果を得た。また、申請備品を用いてのテクスチャ-変化測定では、測定条件の一定化に困難があり、明確な結論を得るには至らなかった。
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