農作業において運搬の対象となる物は種類も多く、形、重さも千差万別でその取扱いも異なる。農業が機械化を中心として合理化が図られているものの、依然として人力が介在する荷役作業が多く残されていることを前年までの調査研究から明らかにしてきた。本研究の最終年となる今年度は、今まで試作を進めてきたコンテナの荷役機器としてのトラック装着型リフトの汎用的利用を考えた改良を図ることと、運搬実態調査として重量野菜の分野をさらに補完し、運搬仕事の体系的な整理とその改善方向をマテリアルハンドリング技法に基づいて明らかにすることに主眼を置いた。 コンテナの積み上げを考えたトラック装着型リフトは、荷の入ったコンテナを荷台まで持ち上げる負担の多い労働強度を軽減する点で効果が大きい。しかし、能率の向上に対しては構造上の制約から効果が出ないことが分かった。すなわち、コンテナという小単位の荷姿で、しかも作業が間断的な場合には大幅な省力を望めないことが、後述の実態調査と体系的な検討から明らかになった。運搬仕事の改善の基本が荷姿を大きくするか、バラ扱いとして連続搬送が可能な工程に変えていくことが有効であることを示唆している。 本研究の主眼とした人力による運搬作業の実態評価では、仕事(kg・m)と延作業時間を調査することで作業の特質と改善の方向を明らかにする上で有効な手法であることが明らかになった。 各作目毎に行った実態調査を整理すると生産規模、機械化体系によって大きな跛行性のあることが明らかになった。こうした実態から運搬仕事の改善方向について、マテリアルハンドリング手法の運搬の原則から、作業改善のパターンと見直しの手順をそれぞれ掲げて整理し、研究報告のまとめを行った。
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