本研究は、農業生産における運搬作業のうち人力が介在する運搬作業の労力軽減と作業合理化を目的とし、種々の形態で行われている作業実態の把握とそれら運搬作業労力の評価法の検討、運搬作業の改善方向および手順の体系化、汎用的に利用されるコンテナの荷役機械の試作などを課題として遂行し、以下の結果を得た。 1.運搬実態を把握するための調査には作業に影響しない方法として、運搬物の単位重量もしくは移動に要する力と移動距離の積として求められる仕事(Kg・m)と延作業時間計測を採用し、各種作物を対象にいくつかの地域で調査を行った。その結果いずれの作物においても収穫物の圃場搬出やその後の選別などのための移動で運搬仕事の値が大きく、作物別ではバレイショ、ダイコンなどで特に大きくなった。各作物の運搬仕事は取り扱う時の単位重量の相違や運搬手段によって異なるが、仕事と延作業時間の両者の関係を図上で整理すると作業の特異性の類型化、さらに運搬作業労力の評価と改善方向を明らかにできることが分かった。 2.運搬の対象物が様々な形状、大きさ、性状を有していることから作業の改善方法に特定の方法はないが、運搬作業の改善にあたってマテリアルハンドリング技法の原則に沿って考えることが有効であることから、改善の取り組みの具体的形として低能率工程の機械化、作業工程の同時化・省略化を上げ、運搬作業の見直しの手順を整理した。 3.農業生産において汎用的に利用されるミニコンテナのトラック積み上げ作業の改善として、2種のハンドリング機械を試作し実用性の検討を行った。いずれも人力作業を大幅に上回る作業能率は得られなかったが、エレベータ式の1機種では汎用的機能を付加する改良を加えると有効活用が図れると判断された。
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