平成4年度においては、土とタイヤの接触問題解析用プログラムの開発を目的として研究を行なった。以下に得られた成果をまとめる。【土のモデル】土の力学挙動を記述する力学モデルは、未だ各種土性に対して統一的なものはない。今回は、従来の適用事例の多い点から、基本的な弾塑性モデルとし、Mohr-Coulombの降状条件を仮定した。また、非関連流れ則を仮定し、比較的単純なアルゴリズムである粘塑性法に基づく初期歪み法により3次元弾塑性解析を行なうプログラムを完成した。なお、具体的な土の各種材料定数の決定方法に関しては、最終年度において検討することにした。【接触問題としての扱い方】すでにタイヤモデルと土のモデルを開発したが、タイヤと土の接触問題として解析するプログラムを以下の様に開発した。〔1〕接触部での変位の重合がないという拘束条件を緩和するため、解析の容易なペナルティ法を用いて接触条件を記述し、増分型仮想仕事式に導入した。〔2〕土側の表面四角形要素の部分三角形とタイヤ側の接近節点の4節点よりなる3次元特殊接触要素を考案し、この要素に対して接触条件を適用し、接触部の剛性マトリックスと接触力増分ベクトルを各種接触モードについて求めた。これらを元のプログラムに追加して増分型接触問題解析プログラムを完成した。なお、接触面にはCoulomb摩擦が作用するものとする。〔3〕土とタイヤを弾性体とした単純な例題により、その解析精度を確認した。【接触プログラムの特徴】開発したプログラムは、タイヤの一部に強制変位増分を与えるようになっている。現在は、静的沈下問題を対象としているが、将来タイヤが転がる様な動的問題においても若干の境界条件の変更で対応可能と考えられる。
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