研究概要 |
本研究は,ステレオ方式による田植機自動操向システムの開発を目的としている。昨年度に距離20mまでの往復走行制御実験に成功しているので,制御距離の延長,第3列以降のデータの作成と実験ならびに土壌路面での実験,同じく土壌路面での旋回実験を行った。しかしながら,第3列以降の実験は,プログラムの不備のため,実施できなかった。そこで,制御距離の延長を主目的とした。制御距離の延長の方策として,ここではビデオカメラのズーム機能を制御した。基盤整備された水田は,横方向30m,縦方向100mに規格化されているので,制御距離を100mとし,距離20m毎にズーミングを行った。ズーム時の自動操向制御実験を行ったところ,ズームがかかった時,田植機が大きく蛇行する現象が認められた。これは,田植機の進行方向と田植機の横ずれがズーミングのため,大きく拡大されるからである。そこで,1画像処理前の赤色板の縦高さドット数を記憶し,現在のそれと比較し,適正な値であることを確認させるように改善した。また,赤色板の横中心位置に対しても同様に1画像処理前の数値を記憶し,現在の横中心位置と比較し,赤色板の中心が許容範囲以内でも,田植機の進行状況に応じて,ハンドル制御を行うように制御プログラムを改善した。この結果,ズーミングを行った時の第1列距離34mまでの操向制御に成功した。しかし,無線通信モデムの性能から30m以上となると,通信が途絶えることが生じた。今後は,無線通信モデムの性能の向上を図るとともに,制御系のより一層の精度向上を図りたい。また,旋回時の回転半径が予想以上であったことから,田植機のクラッチやブレーキを制御して旋回半径の縮小を図る必要がある。
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