本研究は微生物的手法に着目し、高濃度の有機廃液の直接処理が可能な嫌気性発酵処理に関して基礎的データの収集、廃棄物処理による高濃度バイオガス発生システムの開発およびその実用化に関する基礎的データの収集を行った。 まず第一に、焼酎廃液に対応する二相式ファーメンタの発酵条件に必要な酸発酵およびメタン発酵の発酵分解速度を調べるため、ジャーファメンタによる焼酎廃液の発酵処理を回分式で行い、BOD濃度、COD濃度、発生ガス量、MLSS、MLVSS、pH、有機酸、菌体濃度(DNA量)の測定を行った。発酵分解速度は対数増殖期に最大を示し、発酵効率は菌体の最大比増殖速度で最大となった。基質消費速度と菌体比増殖速度の関係をLineweaver-Burkプロットで求め、最適滞留時間を明らかにした。また、この増殖特性値を用いて、対数増殖期でのMonodモデルに適用すると、4次のルンゲ・クッタ・ギル法による理論解析値と実測値は良く適合し、増殖特性値の妥当性が明らかになった。 次に、二相式ファーメンタによる発酵処理のモデル実験を行い、発酵処理条件と有機物濃度の関係、BOD、COD濃度と発生バイオガスの関係など基本的関係を明らかにした。 実用試験では、6.6m^3の二相式ファーメンタを用いて連続発酵処理を行った。解析はCOD除去速度、COD除去率、廃液1m^3当たりのガス化率、バイオガス発生量、メタン濃度、動力測定などについて行い、本システムは廃液処理とともにエネルギ回収の面からも利用性の高いことが明らかになった。 嫌気性発酵処理技術は、今後ますます増加する廃棄物処理問題の解決のための一方途として有効な手段であり、これら一連の実験で得られたデータは、今後有効に活用されることと思われる。
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