研究課題/領域番号 |
03660269
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森本 哲夫 愛媛大学, 農学部, 助手 (50127916)
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研究分担者 |
福山 寿雄 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90036351)
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キーワード | ファジイ理論 / あいまいさ / ニューラルネットワーク / 学習によるモデル化 / 水耕トマト / カルシウム欠乏 / 培養液制御 / イオン組成 |
研究概要 |
今年度は科研の最終年度として、今までに開発した知能的制御手法を用いて、トマト水耕栽培におけるカルシウム欠乏回避のための実験を行なった。今までの研究から果実のカルシウム欠乏(尻腐れ)は、カルシウムイオンの根による吸収低下よりも吸収後の果実への移動低下の方がかなり大きく、非常に複雑な様相を呈した。本研究では以下の2つの制御実験を試みた。使用した制御法は本研究で開発したものであり、現在実際的な制御法として世界的に注目されている。それは、まずニューラルネットワークで制御対象の同定(モデル化)を行い、次にそのモデルのシミュレーションから最適な環境条件を遺伝的アルゴリズムを用いて求める。 1つは、良苗に育てればその後の生長が順調でカルシウム欠乏が生じにくいので、良苗に育てるための養液濃度の最適制御を行なった。これは、良苗の指標として葉長/茎径を用い、これが最大となる4段階の栄養濃度の組み合わせを求める。求められた最適濃度操作は、最初は高くし、途中ではかなり低くし、最後はかなり高くする操作であった。最初高くすることで初期の栄養生長を促進させ、また途中下げることで余分な栄養生長を抑えて果房の生長を促進させ、さらに最後高めることで生殖生長を促進させ、カルシウム欠乏は回避された。 もう1つは、間欠給液(排水と給水)によるカルシウムイオンの吸収促進と果実への移動促進である。光合成速度を最大にさせる4段階の給排水操作を求めたが、これによりイオン吸収が約10%ほど増大し、また開花および果実の生長は順調でカルシウム欠乏は生じなかった。 以上より、本研究で開発したニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを組み合わせた知能的制御手法は植物生理制御に有効であることが分かった。今後は実際の現場でその有効性を試したい。
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