本年度は一昨年育成牛であり、昨年妊娠牛であった牛が長野県畜産試験場で分娩し、11月まで同場でスタンチョンストールで飼育された泌乳牛の行動と泌乳能力の資料を加え因子分析を行い、育成時から泌乳時にわたる3年間の乳牛の諸行動と泌乳能力との関連性について最終的に検討した。 その結果、これらの要因は主に4つの要因に分割され、要因4までの累積寄与率は約90%であった。各要因に関与していた変量を解析した結果、要因1は妊娠時の牛の敏捷性、要因2は育成時の鈍重性と泌乳時の非単一型活動性、要因3は乳牛の反応性、要因4は乳牛の採食性によるものと考えた。泌乳能力との関連性については総乳量が要因2に、搾乳速度が要因3に関連していた。すなわち総乳量の多い牛は子牛の時に鈍重で泌乳牛の時は単一の行動(例えば横臥行動)を継続して行わない牛であること、また、搾乳速度の速い牛は反応性が早い牛であることが判った。 さらに、乳牛の3年間にわたる行動には育成牛と泌乳牛に共通にみられる鈍重性や採食性などがある一方、妊娠時だけに特有にみられる鈍重性もあることが判った。
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