研究概要 |
1972年から全御崎馬について、個体別の出生,死亡,出産を記録し、全馬の馬籍簿を作成するとともに、繁殖状況や頭数動態の調査を続けている。また1979年以降は、月に1〜2回の割で現地で個体別に行動調査を行ない、全馬の行動域を記録している。1980年以降は、全御崎馬の血液型を分析し、1991年現在216頭分の個体別の血液型が判明している。 平成4年度に、それまでに得られた169頭分の馬籍簿、14年間分の個体別、群別社会行動記録及び216頭分の血液型の記録を整理・分析した。現地調査は毎月1〜2回行ない、現地の監視員から全馬の出生や死亡及びその時の状況等を聞き、個体別に記録した。また御崎馬の全行動域を見て回り、発見されたすべての馬について、行動記録用の地図上に個体別に生息場所や時間あるいは繁殖行動や妊娠の状況、他の馬との社会行動などの特徴を詳細に記録した。平成3年度は10頭、平成4年度は11頭の子馬が彩血できたので、それぞれの血液型の分析を行なた。 これまでに得られた成果としては、(1)繁殖と育成に関して、小松ケ丘地区は繁殖の中心地として、扇山地区は育成の中心地として、地理的機能分化が起こり、これが子馬の移動の大きな原因になっていること、(2)子馬の約半数が生来の集団から別の集団へ移動、そこで性成熟に達すること、(3)移動した子馬の一部は、性成熟に達した後再び生来の集団に戻り、新しい繁殖群(ハーレム群)を形成すること、及び(4)169例の親子判定の結果、母子間、父子間、及び兄弟姉妹間で14例の近親交配の例が判明した。
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