1.ラクトフォリン(LP)は疎水性アミノ酸残基に富みかつ親水性の糖鎖をもつなどの両親媒性を示すことから、LPの強力な乳化能を明らかにし、さらにはその高い乳化能力によりリポプロティンリパ-ゼ(LPL)によるリポリシスに対するLPの防御作用について解析した。 2.LPの乳化能力(乳化活性および乳化安定性)は、乳化時間の延長(0.5ー10分)とももに増加し、タンパク質濃度は50mg/g脂肪および油脂濃度は25%で最大に達し、アルカリ側pHおよびpH3で上昇した。タンバク質50mg/g脂肪、乳脂肪25%、pH7.0、乳化時間2分で調製したエマルションの平均粒子サイズとその比表面積はそれぞれ2.7μmおよび3.7×10^4(cm^2/cm^3)で、粘土は4.5mPa・sであった。LPは非常に優れた乳化能をもつことを明らかにした。 3.超音波処理により脂肪球を破壊した新鮮牛乳のリポリシスは自身がもつLPLにより時間とともに直線的に進行した(対照)。これに対して、超音波処理新鮮乳にLPを加えて、牛乳が本来もつLPLに対するLPの防御作用を比較検討した結果、蛋白質濃度40mg/mlで、LPに富む画分では対照の65%が、LPでは90%が阻害された。LPは牛乳のリポリシスに対する防御機能を有することを明らかにした。 4.来年度は(1)合成基質における各種リパ-ゼに対するLPの防御作用を明らかにする、(2)MFGMで再構成した乳脂肪球、LPで再構成した乳脂肪球およびMFGMとLPとから再構成した乳脂肪球エマルションにおける牛乳LPLの防御機能の差異を明らかにする、(3)チ-ズホエ-からLP画分を調製・試験し、チ-ズホエ-の天然乳化剤としての有効的利用を検討する。
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