研究概要 |
Bovine immunodeficiency-like virus(BIV)は1972年度米国においてbovine lymphosarcomaの研究中の分離された。BIVはbovine lent-ivirusに属しているが、ウシに対する病原性は不明である。米国とオランダ、スイスではBIVに対する抗体陽性のウシが存在している。しかし、日本では抗体陽性のウシが存在するか否かも不明であるし、BIVも分離されていない。 我々は日本のウシがBIVに対する抗体を持ったいるか否かを調査し、もし抗体陽性牛を検出したならば、そのウシからBIVを分離することを目的とした。 BIV感染牛の検出はindirect immunofluoresence antibody technique(IFA)によって抗体検出を行った。カバーグラスにBIV持続感染細胞を培養したものを抗原とし、被検血清は主に1:8希釈で用いた。二次血清はFITC標識ヤギ抗ウシIgG(Fab2)を用いた。その結果、7つの県から集めた2,846頭のうち29(1.02%)頭が抗体陽性を示した。次に、これらのウシの4頭から末梢血リンパ球のDNAを抽出しplymerase chain reactin(PCR)とSouthern blot hybridizatin testによってBIVのproviralDNAの検出を実施した。PCRはBIVのgag領域とpol領域の2ヵ所を増幅した。Southernblot hybridizatin testはPCRに用いたと同じgag領域を用い、digoxig-enin標識probeを作成して使用した。 その結果、4/4頭でBIV proviral DNAが検出された。これらの成績から、日本のウシがBIVに感染していることが示唆された。現在、BIV抗体陽性牛の血液を実験的にウシに接種し、そのウシからBIVを分離することを計画している。
|