研究概要 |
ウマの血清中諸種急性相蛋白測定により診断法の確立 研究計画に従って本年度は,ウマ急性期血清または血漿からそれぞれの方法で分離・精製したCー反応性蛋白(CRP),セルロプラスミン(CP),α_1ー酸性糖蛋白(α_1AG)およびハプトグロビン(HG)を家兎に対して免疫して作製した抗血清を用い,単純免疫拡散(SRID)法によってウマ血清中のそれぞれの蛋白濃度を測定した。また,酸可溶性蛋白(ムコ蛋白,ASP)については市販のASP測定キットを用いて同様に測定した。まず,各種年齢および妊娠各期にある正常馬血清について検討し,これら諸種血清蛋白の加齢性および周産期変動を明らかにした。次いで,実験的炎症作出馬および各種炎症性疾患馬血清中のそれらの蛋白の濃度を測定し,CRP,CP,α_1AG,HGおよびASPはいずれも炎症期に増加し,炎症消退に従って減少する急性反応相蛋白であることを明らかにした。 血清アミロイドA蛋白(SAA)はウマ急性期血清を10%ギ酸により溶出するセファデックスG25ゲルクロマトグラフィ-を3回繰り返すことによって分離・精製することができ,Dr.Pepysより分与された抗ウマ家兎血清との免疫学的反応性からウマSAAと同定した。ウマSAAは分子量約11,000で,電気泳動ではα_2ーグロブリン分画に泳動された。精製したウマSAAを家兎に免疫して作製した抗血清を用いてSRID法によって、現在ウマ血清中のSAA濃度を測定中である。 α_2ーマクログロビン(α_2MG)は正常ウマ血漿を塩析,セファクリルS300ゲルクロマトグラフィ-および陰イオン交換クロマトグラフィ-することによって分離・精製することができた。現在その性状解析および定量化を進めている。
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