研究概要 |
1)転座保有種雄牛から精巣を入手して、減数分裂時の半数体(精細胞)を光学的ならびに電子顕微鏡学的に手法を用いて分析した。その結果、1細胞核当たりのbivalentの数は、正常牛ではいずれも29+XYであったのに対して、4頭の転座保有牛では、半分以上が28+XYとなっていて、正常牛と比べて1個減少していた。このことは、転座保有牛では精細胞レベルで明かに染色体融合が起こっていることを示めしている。また、約3/5のこれらの細胞核で1/21間の融合箇所が確認でき、2つのパターンに分類することが可能であった。すなわち、(1)両Heterozyteが、それぞれの先端部分で接続し融合したもの、(2)両染色体の先端が非相同的対合を起こしたもので、その対合の部分が長短2種類見られたが、短いものが大半を占めていた。また、微小フラグメントを有する種雄牛の精細胞でフラグメントの存在が確認できたのは20個中、わずか6個に過ぎず、その形態も一定した特徴を示さないことを認めた。 2)転座保有種雄牛の精子の染色体を昨年に引き続き、新たな例を用いて分析したところ、30,X(or Y),+robをもつ正常型が47.3%、29,X(or Y),+robをもつ均衡型が50.0%であった。これに比べ、30,X(or Y),+robをもつ不均衡型精子の出現率は2.7%であった。 3)転座保有雌牛の肥育性について検討したところ、1日あたりの増体量は0.7Kgで、正常牛のそれと変わらなかった。
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