研究概要 |
本研究は、生理的な必須微量元素であるビタミンA(Retinol)、ビタミンE(αーTocopherol)が、泌乳牛の乳房炎防御に重要な役割を果たす食細胞である好中球の機能に、どのような影響を及ぼすかを解明することを目的とした。 泌乳牛血液由来の好中球殺菌能に及ぼすRetinol,αーTocopherolの影響をin vitroで検討した。好中球の殺菌能を評価する方法としては、Nitroblue Tetrazolium(NBT)色素が好中球の酸化的殺菌過程により還元され、Formasanに変化するのを利用したNBT還元試験を用いた。 好中球を血液より分離し、培地(RPMI1640)にRetinol(50,100,300,500IU/dl),αーTocopherol(100,200,600,1000μg/dl)を添加したものと、無添加のものでNBT還元試験を行った。その結果、Retinolについては100IU/dlで、αーTocopherolでは200μg/dlで最も高いNBT還元能が得られた。また好中球分離後に、Retinol(100,500IU/dl),αーTocopherol(200,1000μg/dl)を添加し培養(120分)したもの、および無添加培養後のNBT還元能と、それぞれの培養前のNBT還元能を比較したところ、無添加のものではその還元能が約半分になったのに対し、Retinol,αーTocopherol添加のものではNBT還元能は維持され培養前のものと変化なかった。 以上の結果、in vitroにおいて、泌乳牛の血液中好中球殺菌能はRetinol,αーTocopherolの濃度に強く影響され、またその存在によって殺菌能が維持されることが明らかとなった。
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