研究概要 |
In vitro受精能獲得(CAP)に伴うブタ精子の細胞膜変化(公表準備中) ハムスター精子のCAPを凍結割断法で観察した結果、細胞膜のうち先体周囲細胞膜(PAPM)に顕著な変化が見られたので、PAPMに13nmと8nmの明瞭に異る膜内粒子(IMP)を持つブタ精子を用いてCAP時に起るPAPMのより詳細な観察を試み、更にデータを計測して統計的解析を認みた。 (方法)Kiev液に保存した精子を実験室に運搬し、TYH液で洗浄後、4時間培養してCAPを誘起し、その間1時間毎に固定試料を得た。又コントロール(C)としてKiev液中の精子を固定した。培養後、精子をカフェインを含む受精培地に移動すると超活性運動を示す精子が遊離するので、これをSU(Swim-up)として固定した。精子の一部はFilipin溶液で処理し、膜内ステロールの変動を調べた。(観察と考察)先体反応した精子の割合を調べるとC=6(単位%) 1h=28 2h=44 3h=51 4h=45 と上昇したが、SU=14と少く、受精する精子は培養終了時には末反応と考えられた。以下末反応精子について観察すると時間の延長に従ってIMPとFilipin-ステロール複合体(FSC)の欠損領域がそれぞれC=3(単位%),3 1h=6,13 2h=13,15 3h=16,18 4h=18,27 SU=28,41と上昇し、二者間では常にFSC欠損領域の広がりが先行した。これはPAPMからのステロールの減少がIMPの減少に先行すると考えられる。IMP存在領域で単位面積あたりのIMP密度の変化を大小粒子別々にPE両面の和で調べ、IMP欠損領域分を減じると、それぞれC=595(単位No/μm^2),2692 1h=575,2325 2h=634,1641 3h=592,1789 4h=637,1710 SU=657,1546となり、小粒子は減少し、大粒子は変化しないことが示された。これらの観察から膜ステロールや小粒子は膜の安定化に寄与して時節を得ない膜隔合を阻止し、CAP中に減少して膜構造が単純化し、先体反応時の外先体膜との隔合が可能になると考えられる。
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