研究課題/領域番号 |
03670015
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡 仲三 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40079976)
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研究分担者 |
金井 美晴 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70094365)
堀田 康明 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90117854)
馬渕 良生 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80106228)
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キーワード | 脂質貯蔵細胞 / Lipidーstoring cell / グリチルリチン / 膵臓 / 塩化アルミニウム / カドミウム / 生体防御系 / アルツハイマ-病 |
研究概要 |
われわれ研究室では、最近、膵謎の間質結合組織の中に、特殊な細胞系を発見し報告した。この細胞は「脂質貯蔵細胞(Lipidーstoring cell)」と命名したが、細胞の起源は、間葉系細胞と思われ、突起の多い細胞で、1つは位置的に線維芽細胞に近似している。一方、他の1つは、毛細血管の壁の外側に固着していて、基底板によって囲まれており、いわゆる周皮細胞の1つである。両者共、通常は脂質滴を持たないが、ある実験条件下で、少数個の脂質滴が出現する。例えばすでに報告した論文によれば、ビタミンA,D,E、ストレプトゾトシン、ジエチレングリコ-ル、臭化ナトリウム、カドミウムなどによって脂質滴が出現し、その脂質滴の中に明らかにそれらの物質が溶解していることが一部が蛍光顕微鏡的(ビタミンA)あるいは細胞化学的(カドミウム)に証明された。本年度においてはさらに、アルツハイマ-病の患者の脳の神経細胞中に蓄積するといわれるアルミニウムに着目して、マウスに塩化アルミニウムを投与して膵組織を観察したところ、膵の間質結合組織内に多数の、脂質滴を持った「脂質貯蔵細胞」が出現した。この細胞は、粗面小胞体の発達が良く、間質結合組織内に長い細胞質突起を出しているので「線維芽細胞系」由来と判定した。この細胞の脂質滴は、漢方薬甘草のエキス成分、グリチルリチンの投与によって増量し、かつ、大食細胞としばしば接触が認められ、広義の生体防御系に属する細胞であると考察した。すなわち、生体内に進入した毒物(アルミニウムなど)をその脂質滴の中に一時貯蔵してその毒性を弱める働きがあり、また大食細胞と協力してその毒物の処理に当たるものと考えられた。なお、「脂質貯蔵細胞」の脂質滴の中には、X線マイクロアナライザ-によって、アルミニウム元素が存在することが証明された。
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