研究課題/領域番号 |
03670016
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山本 昇 北里大学, 看護学部, 教授 (10050543)
|
研究分担者 |
増本 安紀 北里大学, 看護学部, 助手 (30209457)
松谷 伸二 北里大学, 看護学部, 助手 (60219433)
長谷川 孝幸 北里大学, 看護学部, 講師 (60180858)
|
キーワード | HGF / 肝細胞増殖促進 / 細胞外基質 / 肝再生 / bFGF / 核小体 / gene transcription制御 |
研究概要 |
私たちは肝細胞と肝非実質細胞の相互作用を解析する過程で、非実質細胞から肝細胞増殖を促進する因子が分泌されることを明らかにした(N.Yamamoto et al. Cell Struct. Funct. '89)。この因子は血小板由来のHGFと類似物質であり、おもにクッペル細胞から分泌されることをつきとめた(ibid. 投稿中)。一方、正常成獣肝臓内に多量の肝細胞増殖促進因子が潜在することをつきとめ報告した(A.Masumoto and N.Yamamoto:Biochem. Biophys. Res. Comm. '91)。今回その物質の精製を試み、分子量約7万で抗HGF抗体と反応するHGF類似物質であることをつきとめた(投稿準備中)。これらの知見を総合して、正常な肝臓内でも肝類洞壁の細胞外基質にHGFが結合して存在するという作業仮説をたて、その仮説を立証するための実験を行った。その結果、 1)肝非実質細胞、線維芽細胞、肝細胞などを培養後、細胞成分だけを除いて得られる細胞外基質に精製したHGFが吸着し、そのHGF吸着細胞外基質上で肝細胞を培養すると、肝細胞の増殖促進がみられる、 2)同様に基底膜類似物質からなる"マトリゲル"にもHGFが吸着し、同様に肝細胞増殖促進効果を示す(以上の知見は投稿印刷中、A.Masumoto and N.Yamamoto: Biochem. Biophys. Res. Comm. '93 in press)。 3)細胞外基質に吸着したHGFを遊離させる因子が肝細胞からぶんぴつされる。目下この因子の同定を行っている。以上の結果を総合して、類洞壁に存在する細胞外基質中に潜在するHGFが、肝細胞傷害に伴って、肝細胞から遊離する因子によって細胞外基質から遊離し、肝細胞の増殖を促進することによって肝再生を促進するのではないかと考えている。 最近増殖因子といわれるものの中に、細胞増殖だけでなく細胞の機能分化や形態形成に関与するものが知られている。HGFも"Scatter Factor""Morphogen"といわれるものと同一物質であることが明らかにされている。私たちBasic Fibroblast Growth Factor (bFGF)がHuman Epidermoid Carcinoma cell A431の核小体に結合して存在することを明らかにした(N. Yamamoto et al: Histochemistry, '91)。またbFGFが発生途上の各種中胚葉由来の細胞の核小体に結合して存在する(N. Yamamoto: J. Anatomy投稿中)、培養軟骨細胞の分化と関連し核内への移行が認められる(N.Yamamoto:Histochemistry投稿中)ことなどから、bFGFがgene transcriptionに直接影響しているのではないかという仮説を提起している。
|