研究概要 |
血管内皮特殊顆粒(WeibelーPalade顆粒、以下WP)はvon Willebrand因子(以下vWF)を含有するが、そのほかに我々の二次元電気泳動解析から種々のペプタイドを含有すること、加えてヒスタミンの貯蔵粒子であることが明らかとなっている。 本年度課題に基づいた研究の結果,以下のことが解明された。 1)ヒト臍帯静脈内皮のvWFとヒスタミンの抗原性の局在を二重免疫標識法免疫組織化学的に検索した結果、WPに両者の陽性反応がみられた。このことは我々が高速クロマトグラフィによって提示したWPがヒスタミンのreservoir siteであるということの免疫組識化学的証明となった(Anat.Rec.,232:257ー261)。 (2)エンドセリンファミリ-(以下ET)とサラホトキシン(以下S6b)はWPの著明な脱顆粒と細胞外放出を誘発する。今回、ウシガエル腹大動脈リングをリンゲル液中に懸垂し、液中にET並びにS6bを添加すると、両薬剤とも濃度依存的に血管攣縮を誘発し、10^<ー8>Mで最大収縮曲線が得られた。上記濃度で内皮保存と内皮剥離リングでの収縮曲線を比較した場合、前者に添加2分後から攣縮の増幅がみられた。電顕観察で、WPの膨化、連鎖状癒合、開口分泌が2分以内からみられたことは、ETとS6bによる同血管攣縮の増幅がWP由来因子によることが示唆された(Anat.Rec.,投稿中)。 3)ヒト満期産臍静脈培養内皮細胞の ^<35>Sーメチオニン標識蛋白を二次元電気泳動とオ-トラジオグラムで解析の結果、培地にWPの脱顆粒剤であるcompound 48/80を添加した時に、20Kと30Kのペプタイドが得られ、電顕観察で培養内皮細胞は著明なWPの脱顆粒像を呈していた。今後これらのペプタイドの血管生理学的意義について検討を加えていく予定である。
|