研究課題/領域番号 |
03670019
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
藤本 淳 産業医科大学, 医学部, 教授 (80080547)
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研究分担者 |
森 直幹 産業医科大学, 医学部, 助手 (80200377)
吉塚 光明 産業医科大学, 医学部, 助教授 (30131791)
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キーワード | 血管内皮細胞 / ワイベル・パラーデ顆粒 / エンドセリン / サラホトキシン / 血管収縮 / 腹大動脈 / ヒスタミン |
研究概要 |
血管内皮細胞に含まれるワイベル・パラーデ顆粒(以下WP)由来の放出蛋白の血管生理学意義を解明するため、in vitroウシガエル腹大動脈に強力な血管収縮を誘発するエンドセリン(以下ET)とその類縁ペプチドのサラホトキシン(STX)がWPに誘発する動態を解析した。 ウシガエル腹大動脈から約3mm長のリング標本を作製し、その半数の内皮を除去したのち、OR-2溶液中に懸垂し、ETファミリーであるET-1、ET-2、ET-3ならびにSTX-S6bを10^<-10>Mから10^<-8>M濃度で累積投与した。さらに、各投与薬剤について10^<-8>M濃度を内皮保存血管と除去血管にそれぞれ単回投与し、投与後に生じた張力変化曲線と最大収縮力を求めた。WPの超微形態学的変化の観察として、内皮保存血管を各投与薬剤10^<-8>Mを添加したOR-2溶液内に30秒、1、2、5および15分間浸潤させたのち電顕試料を作製した。各ペプチドの累積投与により、同血管は濃度依存性の持続性収縮を誘発した。単回投与でもすべての試料で持続性収縮をみたが、ET-1およびSTX-S6bでは内皮保存血管に投与後2分以降に急激な収縮増幅がみられたのに対して、ET-2およびET-3では内皮の有無でそれらの増幅はみられなかった。各薬剤投与後の超微形態変化として、ET-1およびSTX-S6bでは投与後2分以内にWPの脱顆粒と開口分泌による内容物の細胞外放出像とがみられ、ET-2およびET-3ではこれらの変化は認められなかった。 以上の所見はET-1およびSTX-S6bが誘発した血管収縮機序において内皮依存性の収縮増加機序が生じ、その増幅因子がWPに貯蔵されていることを示唆する。WPの脱顆粒と細胞外放出像はcompound48/80投与後のヒスタミンと遊離後の像に酷似しており、compound48/80投与後の潅流液からヒスタミンが定量できることからもヒスタミンが増幅因子の一つであることが推察される。
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