エンドセリン受容体を持つ線維芽細胞の構造と機能

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03670020
• 研究機関: 岡崎国立共同研究機構
• 研究代表者: 古家 園子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (20096952)
• 研究分担者: 古家 喜四夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40132740)
• キーワード: 線維芽細胞 / 小腸 / アストロサイト / エンドセリン / アクチン / Fura-2 / サイクリックAMP / カルシウムイオン

研究概要

生体内の結合組織には、繊維芽細胞、筋繊維芽細胞、間質細胞、脂肪摂取細胞など多様な形態を示す繊維芽細胞群が存在している。これら繊維芽細胞群の内、小腸絨毛内でネットワークを形成している筋繊維芽細胞や肝臓のディッセ腔に存在する脂肪摂取細胞(伊東細胞)は高密度にエンドセリン受容体を持っている。線維芽細胞ではないが脳のアストロサイトもエンドセリン受容体に富んでおり、これら、血管と実質細胞との間に介在し、細胞相互が連結して網状構造を呈す細胞の構造と機能について、培養系を使って研究を進めた。
1)小腸筋繊維芽細胞は、血清を含む培養液中では八つ手の葉のようなフラットな形を示すが、血清をふくまずdBcAMPの添加された培養液中では星状の形態を示す。また、血清やエンドセリンの添加により星状からフラットの形態に戻った。形態変化の過程を免疫組織化学にて観察すると、ストレスファイバー状のF-アクチンが脱重合、再重合すること、ビメンチンの配列が変化することが明かになった。フラットから星状へ、星状からフラットへの過程における細胞内Caの変動をFura-2法にて測定した。dBcAMP潅流によっては細胞内Ca濃度に変化は見られなかった。又、Caイオン除去液中でも、BAPTAを取り込ませた細胞でも変化は誘起された。以上のことから、筋線維芽細胞の形態変化はカルシウム非依存性であり、脳のアストロサイトの形態変化の機構と非常に類似していることが明らかになった。
2)培養した筋線維芽細胞にエンドセリンを添加したが、平滑筋細胞や3T3細胞で報告された明確な増殖誘導作用は認められなかった。この為、動物実験をみあわせた。

研究成果

• [文献書誌] Sonoko Furuya: "Localization of [^<125>I] endothelin-1 in rat tissues observed by electron microscopic radioautography." J.Cardiovascular Pharmacology. 17(S7). S452-S454 (1991)
• [文献書誌] Sonoko Furuya: "Effect and distribution of intravenously injected ^<125>I-endothelin-1 in rat kidney and lung examined by electron microscopic radioautography." Anatomy & Embryology. 187. 87-97 (1992)
• [文献書誌] Sonoko Furuya: "Binding of ^<125>I-endothelin-1 to fat-storing cells in rat liver revealed by electron microscopic radioautography." Anatomy & Embryology. 187. 97-100 (1992)
• [文献書誌] Furuya,Kishio: "Morphological changes and effects of endothelin in cultured subepithelial fibroblasts of rat small intestinal villi." Japanese J.Physiology. 42. S23 (1992)
• [文献書誌] 古家 喜四夫: "エンドセリンによる小腸絨毛下の筋線維芽細胞の細胞内カルシウム反応と形態変化" 生物物理. 32. S66 (1992)
• [文献書誌] FURYUTA,Sonoko: "The structure and function of cultured subepithelial fibroblasts of rat intestinal villi." Anatomical Record. Suppl.1. 53 (1993)