研究課題/領域番号 |
03670022
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中野 勝磨 三重大学, 医学部, 教授 (30024623)
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研究分担者 |
栢原 哲郎 三重大学, 医学部, 助手 (20024705)
安井 幸彦 島根医科大学, 教授 (30174501)
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キーワード | 視床 / 大脳基底核 / 大脳皮質 / 運動野 / 脳幹 / 小脳 / 線条体 / 黒質 |
研究概要 |
本研究の目的は、運動制御にとって重要な視床運動系中継核の神経回路の解明である。本年度は淡蒼球内節(GPm)が視床のVLoを介して運動野に投射する連絡系を電顕的に証明することが出来た。サルのGPmをカイニン酸を用いて化学的に破壊し、その後運動野にWGA-HRPを注入し、運動野に投射している視床のVLoニューロンを逆行性に標識させた。これらの標識ニューロンを光顕的に観察し、その後パンチアウトし電顕用の固定標本を作成した。電顕下で標識ニューロンと変性シナプスとの関係を詳細に観察し、GPm由来の変性シナプスが、逆行性にHRP標識されたVLoの運動野投射ニューロンの樹状突起(比較的細い部位)とシナプス結合を形成しているのが観察された。これらの変性シナプスはニューロンの細胞体とか樹状突起の先端部近傍には見られなかった。シナプスのActive zoneは変性のためか、明瞭な膜構造が見られず正確に判定することは出来ないが、対称性のシナプスと思われる。シナプス小胞は密で電子密度が高く、round vesiclesは見あたらない。GPmの投射ニューロンはGABA作動性であることから、これらの変性シナプスは抑制性のシナプスと思われる。 WGA-HRPのVLo内注入実験により、GPmの尾側腹内側部のニューロン群がVLoに投射し、さらにVLoは運動野に投射するが、特に運動野の上肢支配域ヘ表在性と深在性の終止を示すことが判明した。 また、この運動野上肢支配域は補足運動野から強い入力を受けている。運動野上肢支配域におけるVLo入力と補足運動野からの入力関係について、今後電顕的にシナプトロジーの面から解析する必要がある。 その他、PHA-L法により、前庭神経核がCMに強く投射していることが明らかにされた。一方、CMは線条体の被殻に体局在性投射をすることが本研究課題ですでに判明されているので、大脳基底核は前庭系からも入力を受ける可能性が示唆された。前庭系の入力が随意運動の制御にどのように関与しているか興味があり、現在前庭神経核-CM-大脳基底核系の神経回路の解析が進められている。
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