研究概要 |
ラット青斑核のノルアドレナリン(NA)ニュ-ロンに対するアミン性入力を調べるため、1)青斑核における各種アミン性終末とその標的構造の大きさおよびシナプスの形態について半定量的に検討し、ついで2)アミン性入力の起源について二重標識法を用いて検討した。 検討した終末はド-パミン(DA)、アドレナリン(AD)、セロトニン(5ーHT)である。DA、5ーHTに対する抗体とAD合成酵素フェニ-ルエタノ-ルアミンーNーメチル転位酵素(PNMT)に対する抗体を用いた。逆行性標識はWGAapoHRPーAuで行った。 AD(PNMT免疫陽性)線維終末は大型(60%が直径1μm以上)でその80%が青斑核NAニュ-ロンと典型的非対称シナプスを作り、延髄下端のC1,2,3に位置する細胞体から由来する。 5ーHT線維終末は小型で(95%が直径1μm以下)青斑核中の非アミンニュ-ロンと非対称シナプスを作り背側縫線核から由来する。 DA線維終末は小型(50%が直径1μm以下)から大型(50%が値径1μm以上)にわたり,NAニュ-ロンと非アミンニュ-ロンの両者に終末する。約70%が非対称シナプスを作り、間脳A11,13に位置する細胞体から由来する。 以上の事が明らかになり、青斑核NAニュ-ロンの活動はアミンニュ-ロンによる調節を強く受けており、そのうちADによるものが最も直接的で、ついでDAの影響が大きく、5ーHTは非アミンニュ-ロンを介した間接的な調節と思われる。さらにADが延髄腹側部、DAが視床下部から主として由来することを考えると、臓性入力の影響下にAD,DA両ニュ-ロンが働き、NAニュ-ロンの状態特異的活動に対する調節を行っていることが示唆される。
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