中枢神経系におけるAPUD細胞の機能形態学的研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03670027
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 岡村 均 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60158813)
• 研究分担者: 田口 淳一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (50188132)
• キーワード: aromatic Lーamino acid decarboxyla / tyrosine hydroxylase / ド-パミン / amine precursor uptake and de / 視床下部

研究概要

Wistar系雄性ラットを用い、LーDOPAをド-パミンに変換する未梢性
aromatic Lーamino acid decarboxylase(AADC)の阻害剤Ro4ー4602(50mg/kg)処置後、LーDOPA負荷(20mg/kg,iip)を行った。負荷後60分にて潅流固定後、非モノアミン性APUD(amine precursor uptake and decarboxylation)細胞(AADC含有/ド-パミン含有/tyrosine hydroxylase(TH)非含有細胞)の検出を異種間抗血清(ラゼット抗AADC血清、マウスモノクロ-ナル抗ド-パミン血清、ラビット抗TH血清、マウスモノクロ-ナル抗TH血清)を利用した螢光二重標識法にて検索した。LーDOPA負荷後、AADC含有細胞はすべてド-パミンを含有していた。ド-パミン含有かつTH非含有細胞は視床下部に多量認められ、とくに、前視床下部野視束前野周辺部、背内側核、背側及び腹側前乳頭体核に集中していた。これらの結果より、APUD細胞は視床下部の特定の核群に多いと考えられる。
次にこれら視床下部内に存在するAPUD細胞の投射領域を検索するため、逆行性神経標識物質であるgold conjuate choleratoxin B subunit(ChTxーAu)とド-パミン含有/TH非含有細胞の免疫細織化学との多重染色法を開発した。視床下部と密な線維結合が知られる海馬、扁桃体、中隔核、脳幹諸核、また視床下部内の諸核にこのChTxーAuを微量投与(1μg/μl)し、投与後3日にて潅流固定し、硝酸銀にて金を銀に置換し可視化した後、マウスモノクロ-ナル抗ド-パミン血清(ABC法、DAB染色:茶色)、ラビット抗TH血清(ABC法、DABーNickel染色体、青色)の二重免疫組織化学を行なう。注入部位に投射しているAPUD細胞は茶と青の混った色を呈した細胞体に黒色の点状粒子を持つ。この方法により、視床下部APUD細胞は視床下部外へはほとんど投射せず、視床下部内の多くの核群に投射することが判明した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Ichitani,H.Okamura,Y.Matsumoto,I.Nagatsu,Y.Ibata: "Degeneration of the nigral dopmine neurons after 6ーhydroxydopamino injection into rat striatum" Brain Research. 549. 350-353 (1991)
• [文献書誌] Y.Matsumoto,H.Okamura,T.Nakajima,N.Yanaihara,Y.Ibata: "Immunocytochemical survey of haloperidolーinduced in munoreactive changes of[Met]enkephalinーArg^6ーGly^7ーLeu^8 in the rat forebrain" Brain Research Bulletin. 28. (1992)
• [文献書誌] M.Tanaka,H.Okamura,Y.Ibata: "Differential expression of serotonin and[Met]eukephalinーArg^6ーGly^7ーLeu^8 in the rat brain stem" Brain Research Bulletin.
• [文献書誌] 岡村 均,横山 ちひろ,田口 淳一,一谷 幸男,井端 泰彦: "自傷行為モデルラットのド-パミン神経系と受容体I.新生仔期6ーOHDA投与ラットの行動特性及びド-パミンニュ-ロンの傷害部位" 神経化学. 30. 332-333 (1991)