研究概要 |
腎尿細管のイオン輸送は種々のホルモン(アルドステロン・抗利尿ホルモン(ADH)・副甲状腺ホルモン(PTH)等)および細胞内液性因子(Ca,pH,ATP,cAMP,Cーkinase等)により巧妙に制御され、体液のイオン組成の恒常性を保っている。ペプチドホルモンに属するADH・PTHは、細胞膜レセプタ-に結合し細胞内セカンドメッセンジャ-(cAMP,Ca,CーKinase)を増加・活性化させ管腔側膜にある輸送体(水チャネル,Naチャネル,Naーリン共輸送体等)の活性調節を行っている。細胞内セカンドメッセンジャ-の中でもCaは、Ca自身によるイオン輸送調節以外に、cAMP,CーKinase等の細胞内調節因子の機能を種々のレベルで修飾する事が知られているので、patchーclamp法によるCaチャネルの同定及びその活性化メカニズムを明らかにすることは、腎尿細管イオン輸送の根本的理解にとって極めて重要である。本研究プロジェクト(平成三年度)により、A6細胞においてshearーstress activated Caチャネル電流を記録・解析し、心筋等に存在する電圧依存性Caチャネルとの相違点を明らかにした:(1)非電圧依存性,(2)Km=1 mM;最大Ca電流/cell=43 pA,(3)nicardipine(電圧依存性Lーtype Caチャネル阻害剤)は無効。平成四年度は、本研究結果をさらに発展させ、細胞内へのCa流入路の性質とその制御メカニズムを細胞・分子レベルで明らかにする。
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