研究課題/領域番号 |
03670058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
姜 英男 京都大学, 医学部, 助手 (50177755)
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研究分担者 |
遠藤 克昭 京都大学, 医学部, 助手 (30025613)
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キーワード | 大脳皮質運動野 / 神経回路 / 抑制性シナプス電位 / 抑制性介在ニューロン / パッチクランプ法 / スライス標本 / 錐体細胞 / FastおよびSlow IPSP |
研究概要 |
大脳皮質錐体細胞においては時間経過の異なるFastおよびSlowIPSPが入力路の刺激により誘発されることが知られており、それぞれGABA(A)およびGABA(B)受容体の活性化による電位変化であることが報告されている。しかし、そのようなIPSPを誘発する抑制性介在ニューロンの大脳皮質における神経回路の詳細は明かでない。本研究においては、次の諸点を明らかにした。 1、FastおよびSlowIPSPをひきおこすGABA(A)およびGABA(B)受容体にそれぞれ選択的にシナプスする2種の抑制性介在ニューロンが存在することを電気生理学的に明らかにした。 2、これら2種の抑制性介在ニューロンは、電気的膜特性および活動電位の発射様式に差異があることを示すとともに、それぞれ形態学的に特徴があることを示唆する所見を得た。 3、SlowIPSPはゆっくりした時間経過により特徴づけられるが、これはGABA(B)receptorにおけるsynaptic currentの特性によるとともに、presynaptic impulse の dispersion および electrotonically distributed synapseによってもたらされることを示した。 4、Fast IPSPを引きおこす抑制性介在ニューロンは、軸索を皮質表面に対して水平方向に四方に伸ばし、その投射距離は1〜2mmにも及ぶが、Slow IPSPを引きおこす抑制性介在ニューロンは500Km以内の近接したニューロンに軸索を投射させることが判明した。 5、単一の抑制性介在ニューロンをスパイクトリガー法により同定し、上記の2種のうちどちらの介在ニューロンに属するかを、加算検出した単位シナプス電位の特性から決定し、さらにWhole cell recordingを行っているパッチ電極から蛍光色素を介在ニューロンに注入して、形態学的に同定する研究を現在進めている。
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