最近申請者の見いだしたSーmodulin(sensitivityーmodulating protein;Sーmodと略)は、光受容に伴うCa^<2+>濃度の低下を情報として、PDEの光感受性を制御し、順応機構を制御している。本研究では、Sーmodの作用機構及びその性質を明らかにし、視覚における順応機構の解明に寄与することを目的としている。本年度は(1)CA^<2+>関与の機構の解明、(2)Sーmodの作用部位の同定、を計画した。得られた結果は以下に示すとおりである。 1. ^<45>Ca^<2+>オ-トラジオグラフィ-の結果から、SーmodがCa^<2+>を直接結合するいわゆるEFハンド構造を持つカルモデュリンファミリ-に属する蛋白質であることが示唆された。 2.SーmodがPDEの光感受性を制御することから、SーmodはPDEの光活性化酵素カスケ-ドの構成要素のどれから作用していると考えている。そこで、まず、非水解性のGTPアナログのG蛋白質への結合量を目安に、G蛋白質の活性化の効率についてSーmodの効果を検討した。しかしこれまでのところ、SーmodがG蛋白質に作用していることを示す積極的な証拠は得られていない。 3.Sーmodの研究途上、Sーmodと分子量が同等で、かつ、Ca^<2+>を結合する蛋白質s26が見いだされた。 4.これからの計画 (1)Sーmodの作用部位はまだ明らかになっていないので、引き続きこの研究を進める。すなわち、GTPの分解の時間経過(活性型G蛋白質の寿命)に対するSーmodの作用を検討する。 (2)本年度の研究で明らかになったs26はSーmodと同様の性質を持つことから、順応に関与している可能性が高いと考えられている。そこで、s26の機能、或いはSーmodとの関連を明らかにする。
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