研究概要 |
人工脂質平面膜法を主な手段として、心筋小胞体イオンチャネル分子から単一チャネル電流を記録することにより、平成3年度の実験計画を実行し、以下の結果を得た。 1.小胞体膜両側のイオン環境を直接制御し、特に内在する無機イオンであるCa^<2+>,Na^+,Mg^+,H^+についてその活性化または不活性化機構を詳細に明らかにした。現在、論文準備中である。 2.小胞体のうちJunction SRとFree SR間でチャネルの分布や種類に差があるか否が検討した。現在まで、両者に差は認められない。 3.病態モデル動物を作成し、その異常チャネルを正常チャネルと比較し、電気的興奮機構の相違を検討した。平成3年度は糖尿病動物について調べたが、相違は認められなかった。 4.小胞体イオンチャネルの一つであるCa放出チャネル蛋白の精製に努めた。本年度6月上旬、独自の方法による精製に成功した。 5.方法改良の一貫として、粗膜標本および精製蛋白の巨大リポゾ-ム・パッチクランプ法の確立に努めた。本年度9月下旬、成功を収めた。Ca放出チャネル蛋白の精製法や巨大リポゾ-ム・パッチクランプ法を導入したので、来年度以降の本研究が大いに飛躍するものと確信する。
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