研究課題/領域番号 |
03670074
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
櫻田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 助手 (00215691)
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研究分担者 |
高畑 俊成 金沢工業大学, 工学部, 講師 (90159004)
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
田辺 実 金沢大学, 医学部, 助手 (20217110)
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キーワード | 暑熱馴化 / 甲状腺ホルモン / 血糖 / 寒冷馴化 / 熱平衡 / 摂食行動 |
研究概要 |
我々は先に、10日間以上にわたり毎日、暗期の後半5時間のみ暑熱に暴露したラットを中性温度域に移すと、視床下部温(Thy)、熱産生量(M)がかつて暑熱暴露を受けた時間にのみ下降することを報告した。これは温熱刺激に対する記憶が形成されたものと推察されるが、本研究ではこの現象の機序を追及するため、この様に暑熱馴化ラットの血中ホルモンおよびエネルギ-基質の日内変動を検討した。ウイスタ-系ラットを14日間以上毎日暗期の後半5時間のみ33℃に暴露した群(HE)と24℃で飼育した群(CN)に分けた。暴露期間終了直前および終了後24℃の環境に移したラットを、3時間ごとに断頭し、血中甲状腺ホルモン(T3、T4)、コルチゾ-ル、グルコ-ス、中性脂肪、遊離脂肪酸、総蛋白量を24時間にわたり測定した。HEでは、暑熱暴露中のT3、T4は他の時間帯の値に比べ低下したが、馴化期間終了後24℃の環境に移すと、かつて暑熱暴露の行われた時間帯で逆に上昇した。CNではこの様な日内変動は見られなかった。よって一日5時間のみの暑熱暴露後のThy,Mの下降に甲状腺ホルモンの日内変動が関与しているものと推察された。次に暑熱のみならず一日数時間のみ寒冷に暴露したラットでも体温、熱平衡、行動が変化するかにつき検討した。ラットを3ー4週間にわたり毎日暗期の後半5時間のみ3℃に暴露し、それ以外は24℃で飼育した群(CE)およびCNに分けた。寒冷暴露時間中CEのThyは同時刻のCNの値に比べ低くなった。馴化期間終了後、ラットを24℃に保った直接熱量計に移し、Thy,熱放散量(H)、M、摂食活動量(FA)、行動量(BM)を2日間連続測定した。馴化終了1日及び2日目に、Thy、H、M、及びBMが、かつて寒冷暴露を受けた時間帯に限り減少した。よって暑熱のみならず一日一定時間のみの寒冷暴露を行った後でも、かつての寒冷暴露に対する自律反応が記憶されると結論できた。
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