自己免疫病発症マウス(NZB×NZW)F_1、雌マウスを用いて、発病前後の5ケ月齢より高カロリ-摂取群と低カロリ-摂取群(高カロリ-の60%カロリ-摂取)の2群にわけて飼育した。病気の進展、リンバ球サブセット、Cell cycle及び自己抗体について検討した。 1.尿蛋白について、高カロリ-群は12ケ月で100%陽性であったが、低カロリ-群は0%であった。2.高カロリ-群は低カロリ-群に比べ、脾細胞のTリンパ球は減少し、その中でもLyt2陽性Tリンパ球が有意に減少していた。3.Tリンパ球mitogenのPHA、Con Aに対する脾細胞の増応性は高カロリ-群において著明に低下していた。一方、Bリンパ球mitogenのLPSに対する反応性は宮群間で差が認められなかった。4.リンパ球のCell cycleについては脾において高カロリ-群はS期、G_2+M期が増加し、G_1は減少していた。一方、骨髄のリンパ球については有意差は認められなかった。5.血中抗DNA抗体では低カロリ-群においてIgGクラスの抗dsDNA、抗ssDNA抗体いずれも産生の抑制がみられた。一方、IgMクラスの抗DNA抗体については有意差は認められなかった。 (結論)(NZB×NZW)F_1マウスにおいて発病前後の5ケ月齢からカロリ-制限を行なっても免疫機能は保持されている。末梢リンパ系組織の脾においてカロリ-制限によってTリンパ球の数と機能は維持され、細胞分裂の割合が抑えられていることが示唆された。また、自己抗体については、IgG抗DNA抗体が自己免疫病の進体に関与し、カロリ-制限によってIgG抗DNA抗体の産生が抑制されていることが考えられた。
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