1.自己免疫病発症マウスにおける病気の進展及び免疫機能に及ぼす栄養の影響 いろいろな自己免疫病発症マウスを用いて栄養の免疫機能、病気の発症に及ぼす影響について検討し、以下のような結果が得られた。(1)栄養不良でない程度の栄養制限によって、外来抗原に対する通常の免疫機能は保持され、一方、自己抗体の産生は抑制され、寿命は2倍以上延長される。(2)栄養のうちで総カロリー摂取量が最も重要な因子であり、ついで脂肪摂取量である。(3)病気の発症後でも初期であれば、カロリー制限によって病気の進行は押えられる。(4)カロリー摂取量はマウスの種類によって異なる。カロリー制限の効果は高カロリー群の60%前後で認められる。(5)カロリー制限によって、末梢リンパ系組織における細胞分裂の割合が抑制されていると考えられる。 2.正常マウスにおける免疫機能に及ぼす栄養の影響 6週齢のC57BL/6雌マウスを高カロリー・高炭水化物摂取群、高カロリー・高脂肪摂取群、低カロリー・高炭水化物食群、低カロリー・高脂肪食群の4群に分けて検討した。自己免疫病発症マウスと同様に、正常マウスにおいても脾細胞の細胞性免疫であるPHAに対する反応性、同種リンパ球混合培養は、栄養不良でない程度の栄養制限(undernutrition)によって高く保持される。 3.モルモットコンニャク舞粉喘息に及ぼす栄養の影響 4週齢Hartley系モルモットを高カロリー、炭水化物食群または脂肪食群、低カロリー、炭水化物食群または脂肪食群の4群に分けて検討した。脂肪制限及び栄養不良でない程度のカロリー制限が喘息発作の程度を軽減することに有効と思われる。
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