研究課題/領域番号 |
03670091
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斉藤 亜紀良 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40137708)
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研究分担者 |
和藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
茂野 卓 埼玉医科大学, 総合医療センター, 助教授 (20170863)
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キーワード | エンドセリン / 脳血管 / 血管れん縮 / 免疫組織化学 / 薬理学 |
研究概要 |
脳循環の生理的調節機構ならびにその病態時における変化を明らかにするという目標のもとに、内皮細胞由来生理活性ペプチド(エンドセリン)と脳血管れん縮の発症の関連を調べた。イヌの摘出脳動脈を用いた薬理学的研究によって、エンドセリン(-1)及びその前駆体、類似ペプチドの脳血管に対する血管収縮特性を調べた。その結果エンドセリン(-1)が強力かつ非可逆的な脳血管収縮を起こすこと、その前駆体のビッグエンドセリンは効力が約1/100しかないことを明らかにした。またエンドセリン類似ペプチド(エンドセリン-2、エンドセリン-3)の脳血管作用を調べたところ、エンドセリン-2の作用はエンドセリン(-1)とほぼ同様であるが、エンドセリン-3の作用は効力が約1/100と弱いばかりでなく、カルシウムイオンの動員状態にも差異があることが見いだされた。 エンザイムイムアッセイによる脳脊髄液中のエンドセリン濃度測定、ならびにモノクロ-ン抗体を用いた免疫組織化学法により血管内の存在部位を検討したところ、正常動物(イヌ)の脳血管におけるエンドセリンの組織内発見現量は非常に少ないことが明らかとなった。ところがイヌの脳内に血液を注入すると、血管れん縮が起こるのに先立ってエンドセリンの脳脊髄液中の濃度が上昇することが見いだされた。このようにエンドセリンは正常時には発現量は多くないものの、血管れん縮を起こすような病態時に、多く発現することを示している。この点で当初に立てた“エンドセリンが血管れん縮発症に関連する"という仮説は実証されつつある。さらにこの点を深く追求するため、実験動物としてイヌの脳出血モデルだけでなくラット(自然発症高血圧動物、SHR)の脳血管における検討も行なっている。
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