研究概要 |
1.ウシ副腎髄質のヒスタミンH1受容体の性質を[^3H]メピラミン結合試験およびアフィニティーラベル試薬により明らかにした。ウシ副腎髄質から抽出したmRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入しH1受容体が発現することを電気生理学的に示した。ウシ副腎髄質細胞mRNAを発現ベクター(λZAPII)を用いてcDNAライブラリーを作成した。in vitrotranscriptionによりmRNAを作成し、残基をコードし(分子量:55,954),7個の疎水性領域を有するG蛋白協調性受容体の特徴を示した。このcDNAを用いて哺乳類細胞に発現したH1受容体はウシ副腎髄質細胞のH1受容体と同様の性質を示した。また,H1拮抗作用を有する抗うつ薬,向神経薬,セロトニン拮抗薬に対しても親和性を示した。さらに,ヒスタミン刺激によりイノシトールリン酸の蓄積,カルシウム動員が引き起こされた。 2.ラットヒスタミンH1受容体遺伝子クローンを単離した。イントロンは存在しなかった。受容体は486個のアミノ酸残基で構成された。プロモーター領域にはグルココルチコイド反応領域,AP-2領域が見いだされた。ノザンブロット解析の結果,ラット脳に多量のH1受容体mRNAが見いだされた。しかし,末梢組織においては少なく,ラットのヒスタミンに対する低感受性の理由であることが示唆された。 3.ラット肝臓にはヒスタミンH1受容体と異なる[^3H]メピラミン結合蛋白が存在する(シトクロームP450の一種であるデブリソキン水酸化酵素の類縁蛋白)。H1受容体cDNAから発現させた受容体と[^3H]メピラミン結合蛋白に対するキニーネの親和性が1,000倍異なり,10μMキニーネ存在下に真のH1受容体を標識できることを示した。
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