麻薬性鎮痛薬であるモルヒネは神経細胞内へのCaの流入を抑制してその作用を発揮すると考えられている。一方、Caの動態に関しては細胞内情報伝達系に重要な役割を果たすGTP結合蛋白が服くかかわっており、モルヒネなどの作用発現との関連に興味がもたれる。 我々が行った実験では(1)モルヒネがCa拮抗薬の ^3Hーニトレンジピンの結合を低親和性に変え、これはナロキソンにより拮抗される。(2)GTPγSはモルヒネのこの作用を抑える。(3)GDPβSはモルヒネの作用に影響を与えないが、それ単独でモルヒネと同様に ^3Hーニトレンジピンの結合を低親和性に変える。以上のことからモルヒネはGTP結合蛋白を介してCaのCaチャネルに対する親和性を下げ、細胞内へのCaの流入を抑制することが明らかになった。 さらに(4)ラット脳海馬切片をδアゴニストであるDADLE(10^<ー4>M)で前処置後、膜分画への ^<35>SーGTPγSの結合を調べると減少(約30%)が見られ、この減少はナロキソン(10^<ー5>M)により回復する。(5)同様にDADLE処置後膜分画へ ^<32>Pー4NGTPを結合させてPhotoaffinity labelを行い、SDS PAGEにかけると42KのGsのラベリングが減少することが明らかになった。従って、オピオイド類はGTP結合蛋白へのGTPの結合を抑えることにより作用を発揮することが考えられる。 現在、オピオイドによるGDPーGTP交換反応の抑制にかんするデ-タを集積中である。
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