研究課題/領域番号 |
03670112
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
増渕 美子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10081639)
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研究分担者 |
赤池 真理 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70211000)
渡辺 実 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10191800)
田中 政巳 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (00171801)
熊井 俊夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (40139671)
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キーワード | 高脂血症 / DNA損傷能 / アルキル化塩基 / 前立腺前葉 / Androgen receptor / Steroid hormones / 高血圧自然発症ラット(SHR) / 前立腺癌 |
研究概要 |
I.高脂血症(HLR)の病因の細胞遺伝学的検討: DNA損傷に対する細胞の修復能は、細胞の突然変異の出現と密接に関するが、老化(退行性変性)によりある種のタイプのDNA修復能の障害が生ずる。DNA損傷には一本鎖切断、二本鎖切断、塩基付加などいろいろな種類がある。本研究ではDNA二本鎖切断作用を有するbleomycin(BLM)を用いて、G_0、G_1期の染色体異常を誘発し、その修復能においてagingに伴う変化を調べ、さらにHLRによる影響を検索することにより、HLRの病因を細胞遺伝学的見地より検討した。 HLR発症に複数のDNA修復遺伝子の加齢による機能の変化の可能性を知るため、DNA修復能の検索を実施した。末梢血リンパ球の分裂期細胞のBLMによるDNA損傷後の修復能をplasma 0.45mlをBLMで37℃、1時間処理し、bromodeoxyuridine(BrdU)存在下48時間培養しfluorescence plus Giemsa(FPG)染色で第一回目の分裂期を同定した。 II.HLRとAgingにおける末梢血リンパ球のBLM誘発染色体異常頻度: HLRラット30匹及びSD(正常Sprague Dawley)30匹のheparin添加末梢血をBLM(250μg/ml)、37℃、1時間処理後、BrdU存在下48時間培養しFPG染色で第一回目の分裂を区別した。染色体異常は、リンパ球100個をスコアし、二動原体染色体(D)、環状染色体(R)および染色体断片(frg)の染色体型異常と、染色分体型異常(Ct)及び不安定型異常を有する細胞(Cu-cell)を計数した。DとR(D&R)、frg及びCu-cellの各々の細胞100個の平均発現頻度は、HLRでは44.70±3.821、36.95±3.157及び42.85±2.093%を示し、SDでは59.25±8.815、51.00±4.645及び50.38±5.438%を示し、HLRはSDに比し低値傾向(frgのみ有意低値)を示した。尚、BLM各濃度に対し、染色体異常とaging変化は有意な相関関係を示した(P<0.01)。BLM誘発のDNA損傷の修復は年齢の増加と共に減少を示した。自然誘発染色体異常の発生頻度には、HLRとSDに有意差はなかった。以上、HLRではBLM誘発の染色体構造異常の発現は低値傾向(一部有意低値)を示した。これはHLRの染色体でBLMによるDNAの二本鎖損傷に対する修復能などの機構の障害の存在を推定させた。
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