研究課題/領域番号 |
03670117
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
土田 成紀 弘前大学, 医学部, 教授 (20142862)
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研究分担者 |
佐藤 公彦 弘前大学, 医学部, 助教授 (70003655)
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キーワード | グルタチオンS-トランスフェラーゼ / 血管弛緩因子 / 一酸化窒素 / ニトログリセリン / グアニル酸シクラーゼ / 活性酸素 / グルタチオン / ヘム |
研究概要 |
1.大腸菌に発現させたラットグルタチオンS-トランスフェラーゼP(GST-P)は、DEAE-セルロースカラムにより2つの活性ピークに分離された。一方のピークではGST-Pの活性に一致してヘムも検出され、抗GST-P抗体によりヘムも共沈したことから、GST-Pがヘムを結合していると考えられた。ヘム定量の結果から、GST-Pサブユニット1モル当たり0.5〜1モルのヘムを結合すると計算された。 2.ラット肝前癌病変のGST-P量とそのmRNA量は過酸化水素の産生を促すクロフィブレートの投与により減少した。また、ラット表皮細胞のGST-P mRNA量は紫外線照射によっても減少した。さらにヒト頭頚部癌のGST-πは10〜70GrayのX線照射後陰性化することが明らかとなった。X線照射は活性酸素などのラジカルを産生することから、in vivoで酸化的ストレスに置かれた場合、ラットやGST-PやヒトGST-πの発現は抑制されると考えられた。現在、その発現抑制の機構を解析中であるが、紫外線の場合は、GST-P遺伝子上流のサイレンサー領域を介することが示唆される。 3.一酸化窒素(NO)を放出することが知られている、ニトロプルシドはヒトGST-α、GST-μとGST-πの3者の活性を抑制し、活性の50%を抑制する濃度(IC_<50>)はそれぞれ、0.04mM、0.05mMと0.14mMであった。一方、亜硝酸(NO_2)はGST-μの活性のみを抑制し、そのIC_<50>は0.39mMであった。MuクラスのGST分子種のニトログリセリンに対するKm値は1.1〜2.5mMであることから、ニトログリセリンから産生される低濃度の亜硝酸によって活性が抑制される可能性が示唆された。
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