• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1991 年度 実績報告書

視交叉上核の可塑性に対する光とがん原遺伝子の関与の生化学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 03670124
研究機関大阪大学

研究代表者

永井 克也  大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (70029966)

キーワード視交叉上核 / 可塑性 / 光 / 癌原遺伝子産物 / FOS / TRK / NGF / 2ーデオキシーDーグルコ-ス
研究概要

1.視交叉上核(SCN)の機能的可塑性。眼球摘出盲目動物では摘出後4週目にはSCN破壊時と同様に2ーデオキシ-Dーグルコ-ス(2DG)脳内投与時の高グルカゴン血症反応が消失しているが、12週目には回復すること、及びこの様なグルカゴン濃度の反応性と平行して4週目には蛋白質の摂取が減少するが、9週目には対照動物と同様のレベルに戻ることを見出した。2.SCNの形態学的可塑性。SCNのVIP含有ニュ-ロンは眼球摘出後5週目には「たが」の外れた様な形態を一時的にとり細胞密度が低下するが10週目には回復する。3.SCNでの癌原遺伝子産物の発現。(1)FOS。明暗情報を網膜から伝達する網膜視床下部路が投射するSCNの腹側部にCーFOSが存在することはその抗体を用いる免疫組織化学的方法で確認している。そこで、今後この部分のCーFOSの発現が盲目動物で認められるか否かなどについて検討する。(2)TRK。SCNに存在する神経成長因子(NGF)に低親和性受容体が盲目動物のSCNには存在しないこと及び ^<125>IーNGFをSCNに投与すると網膜に達することを見出した。以上の事実は低親和性NGF受容体がSCNに投射する網膜神経節細胞の軸策終末に存在することを示す。NGFに構造の類似したBDNFやNTー3もこの低親和性受容体と結合し得るが、これらNGFファミリ-の高親和性受容体の構成成分は癌原遺伝子産物のTRK、TRKーB、TRKーCであることが明かとなっている。そこで、現在クロ-ニングを行って、TRKーBの相補性DNAの部分断片を得たので、この発現産物の抗体を作成して、SCNでの発現を検討し、どの神経栄養因子が実際に作動しているかを明らかにしたい。4。VGF。成熟動物ではSCNに特異的に存在し、NGFで迅速に誘導されるVGFは新生児の視床下部の初代培養細胞ではNGFでなくbFGFによって誘導されることを見出した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] K.Nagai: "Effect of glucagon in macronutrient selfーselection:Glucagon enhanced protein intake" Brain Res.Bull.27. 409-415 (1991)

  • [文献書誌] A.Niijima: "Light enhances sympathetic and suppresses vagal outflows and lesions including SCN eliminate these changes in rats" Science.

  • [文献書誌] N.Nagai: "Effect of orbital enucleation on glucose homeostasis and morphology of the suprachiasmatic nucleus" Brain Res.

  • [文献書誌] A.Asada: "Changes in NGF receptorーlike immunoreactive substance in the suprachiasmatic nucleus of the hypothalamus in blind rats" J.Clin.Biochem.Nutr.

  • [文献書誌] 永井 克也: "視交叉上核とその働きーリズムとホメオスタ-シスの接点ー" 神経眼科. 8. 52-54 (1991)

  • [文献書誌] 永井 克也: "脳へのエネルギ-供給の調節と概日時計" ホルモンと臨床. 39. 561-569 (1991)

  • [文献書誌] 中川 八郎: "脳と生物時計ーからだのリズムのメカニズムー" 共立出版, 220 (1991)

  • [文献書誌] K.Nagai: "Central Regulation of Energy Metabolism with Special Reference to Circadian Rhythm" CRC Press, 188 (1992)

URL: 

公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi