ヒト・サイトカインLD78はIL‐8等を含む細胞増殖や炎症に関与したス-パ-ファミリ-の一員である。我々はLD78の3種の遺伝子を単離し、その構造を明らかにしているが、この内の一つα遺伝子のプロモ-タ-中の発現誘導を抑制する領域(ICK‐1)について白血病細胞株K562及びJurkatを用いて解析した。まずsite‐directedmutantsを用いた解析により、この領域にはpositive及びnegativeに働く2つの転写因子がオ-バ-ラップして結合することを見い出した。ゲルシフトアッセイでのコンペティション実験により、positiveに働く因子はGM‐CSF遺伝子プロモ-タ-中のCLEO領域に結合する因子と同じものと考えられ、またnegativeに働く因子はIL‐3遺伝子プロモ-タ中の発現を阻害する配列に結合する因子NIPと同一のものと考えられた。また両因子ともα遺伝子プロモ-タ-のICK‐1領域に対してのアフィニティ-は低かったが、少なくともpositiveな因子は発現誘導に重要な役割をしていた。次にゲルシフトアッセイやDNaselフットプリンティングによりタイムコ-スを調べると、両因子とも刺激前及び刺激後でも存在し、移動度や量的に顕著な変化はなかった。しかしこのICK‐1領域のオリゴマ-を用いた解析から、このpositiveに働く因くは無刺激後では活性はなく、刺激後に何らかの修飾を受けるものと考えられた。またnegativeな因子はpositiveな因子の結合を拮抗的に阻害するだけではなく、他の部位に結合するpositiveな因子の活性をも阻害することが示唆された。以上の結果から、これら両因子の量比によってLD78 mRNAのレベルがコントロ-ルされていると考えられた。
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