研究概要 |
新たに開発した、xe皆obioticsの組織傷害作用に遺伝的に低抗性を持ったラット(以下Rラット)の低抗性の分子的機作として、同ラットには、酸化的傷害防御機構に特徴がある可能性が高いと考えられたので、この観点から、親株ラット(以下Sラット)との比較解析を行い、以下の結果をえた。肝臓小胞体画分をNADPH再生産系,またはADPーFe^<2+>存在下でインキュベ-トし、チオバルビツ-ル酸反応性物質の生成を時間的に追跡した所、Sラットに比し、Rラットでは著しい抑制がみられた。その原因を探索した所、(1)脂質過酸化の中間生成物について、Rラットで同様の抑制が歓察された。(2)小胞体脂質の脂肪酸分析によって,Rラットでは、アラキドン酸含量が30%近く減少していることが判った。(3)しかし、脂質過酸化に関与しているといわれるPー450の総含量,NADPHーチヒクロム還元酵素の活性には、両群間で差がなかった。(4)内在性抗酸化剤のうち、GSHはRラット肝で20%高くなっていたが,V.C.V.Eは両群で相似た含量を示した。(5)Cu,Zn型,Mn型ス-パ-オキシドジスムタ-ゼ,カタラ-ゼ,H_2O_2,有機ヒドロペルオキシドを基質とするGSHペルオキシダ-ゼ等の活性にも差異はみられなかった。(6)GSHトランスフェラ-ゼのアイソザイムは目下分析中である。(7)脂質過酸化過程で生成する毒性の高いアルデヒドを処理する装置として、アルデヒド脱水素酵素が挙げられるが,Rラットでは,特に肝傷害性物質の投与下で,小胞体のアルデヒド脱水素酵素活性(4ーヒドロキシノネナ-ルを基質とする)の亢進がみられた。(8)また,cytosol画分では,マロンジアルデヒド,4ーヒドロキシノネナ-ルを良い基質とするアルコ-ル脱水素酵素活性が高まったおり,これら脱水素酵素が,この変異ラットの防御機構の中で重要な位置を占めていることが示唆される。後者のアイリザイム分析,誘導機構についても研究を進めている。
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