正常人の赤血球中のプロリダーゼにはIとIIがあり、プロリダーゼ欠損症患者の赤血球にはプロリダーゼIの活性が完全に消失していることが明らかとなった。また患者のプロリダーゼIのDNAを調ベてみるとエクソン14が完全に欠損していることが明らかにされた。 プロリダーゼ欠損症患者の赤血球中のプロリダーゼをMet‐proを基質として測定すると、Met‐proに対する活性は正常人及び母親の活性よりも高値を示した。そこでDEAEのカラムを使用して液体クロマトグラフィーによりプロリダーゼのIとIIを分離して活性を調べると患者ではプロリダーゼIの活性は完全に欠損しているが、プロリダーゼIIの活性が非常に高くなっていることが明らかとなった。 またプロリナーゼ活性をPro‐Leuを基質にして測定するとプロリダーゼ欠損症患者では正常人の活性よりも高値を示した。このことは患者ではプロリダーゼIが欠損しているためにそれを補うように活性が上昇しているものと考えられる。 またこの患者はX‐pro、X‐hyproのようなイミノジペプチドを大量に排泄していることが知られている。しかしこれらのイミノジペプチドの正確な定量は行なわれていなかった。そこで我々は最近使用されるようになったLC/API‐MSを使用して、本患者、その母親、及び正常人の尿中イミノジペプチドの定量を行ない、患者では臨床症状が重い方がその尿中イミノジペプチドの排泄量が多いことが明らかになった。またX‐hyproの排泄では、患者の方が正常人及び母親よりもより多く尿中に排泄していたが母親と正常人との間には差異は認められなかった。尚本患者の難治性下腿潰瘍の治療については現在研究中である。
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