Glutathine Sーtransferase(GST)は、発ガン性を有する毒性代謝物とグルタチオンとの抱合を触媒する重要な解毒酵素である。肝ミクロソ-ムのGSTは活性酵素のH_2O_2によって活性化されることをin vitroで明らかにしてきたが、今年度はさらに次の知見が得られた。 1)活性酵素を発生することが知られている虚血/再潅流肝ではサイトゾ-ルGSTは変動しないが、ミクロソ-ムGST活性のみ有意に増加し、また、H_2O_2でラット肝を潅流してもミクロソ-ムGST活性は増加した。 2)ラット肝ミクロソ-ムからGSTを精製し、これをウサギに投与し、GSTm抗体を作り、この抗体を用いてH_2O_2によるミクロソ-ムGST活性の増加と電気泳動による変化を検討したところ、H_2O_2によりGST活性が増加するのに伴ってdimerが形成されることが明らかとなった。 3)ミクロソ-ムGSTはまた、過酸化物のtーButylhydroperoxideや、脂肪酸の過酸化物によっても活性化されることがわかった。 4)ミクロソ-ムGSTはglutathione peroxidase活性も有するが活性酸素ではGST活性は増加するが、peroxidase活性に変化はみられなかった。 これらの結果は、サイトゾ-ルGSTと異なり、ミクロソ-ムGSTは活性酸素を発生するような酸化ストレス時にin vivoでも活性化されること、その活性化にはGSTのdimerizationが関与する可能性を示している。
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