研究課題/領域番号 |
03670163
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
玉置 憲一 東海大学, 医学部, 教授 (50055860)
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研究分担者 |
大西 保行 実験動物中央研究所, 研究員 (70201382)
中村 雅登 東海大学, 医学部, 講師 (00164335)
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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キーワード | RT-PCR / P糖蛋白質 / 病理診断 / 多剤耐性遺伝子 / in vivo抗癌剤感受性 / 腫瘍Xenogaft |
研究概要 |
病理材料において多剤耐性MDR1遺伝子発現を定量して薬剤感受性を予見することは診断上重要な課題である。しかし、治療実験を臨床例について行うことは困難なため手術材料におけるMDR1遺伝子発現が薬剤感受性にどのように関連するかは不明の点が多い。本研究は、ヒト腫瘍担癌実験動物モデルを作成し、短期間の内に、病理材料から薬剤耐性を正確に判定する方法を確立することを目的としている。本年度は、ヒト腫瘍ヌードマウス移植Xenograft株を用いin vivoにおける抗癌剤治療とそれによる抗癌剤耐性とMDR1遺伝子発現との関連を解析した。Xenograft(KB3-1)をヌードマウス皮下に移植し臨床治療相当量の抗癌剤を投与しinvivoにおいて化学療法を施し経時的にに腫瘍材料を採取しMDR1遺伝子発現およびT/C値(Xenograftの抗癌剤感受性)を検討した。治療後のXenograf/(KB3-1R)はVCRに対して薬剤耐性を示し、また、DOXに対しても交差耐性を呈し、多剤耐性と判定された。これらの腫瘍材料についてRT-PCR法によってMDR1遺伝子の発現を検討したところ、KB3-1RではMDR1遺伝子の発現が認められた。発現レベルは経時的に変化し、またinvitroで耐性を示すKB8-5株より低レベルであった。以上の結果より、invivoでも腫瘍において、抗癌剤治療によって新たにMDR1遺伝子の発現が誘導され、腫瘍が多剤耐性となることが明らかにされた。本研究で確立したinvivo抗癌剤治療実験モデルは、今後、多剤耐性のinvivoにおける獲得機序を解明するのに有用である。また、実際の抗癌剤耐性現象は、invitro培養細胞株で知られていたMDR1遺伝子の増幅を伴うものではなく、低レベルのMDR1遺伝子発現の耐性への関与を明らかにすることが重要と思われる。
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